『パシフィック・リム:アップライジング』(2018/4/13)

観ました。かなりネタバレするんでこれから観る人は読まないでね。

 

  • 公式のあらすじ

人類と怪獣の死闘から数年が経過し平穏が戻っていた地球。しかし進化を遂げた怪獣が再び姿を現したことで、つかの間の平和は脆くも崩れ去る。さらに謎の黒いイェーガー・オブシディアン・フューリーの出現により、人類を守るはずのイェーガー同士による激しい戦いも発生。果たして、スタイリッシュに洗礼されパワーアップした新世代のイェーガーに乗り込む若きパイロット達は、迫り来る危機を乗り越えることができるのか!?

 

  • ストーリー

太平洋の海底の裂け目から襲来した怪獣に、人型巨大兵器「イェーガー」たちが立ち向かった激戦から10年が経過した、西暦2035年。世界は平穏を取り戻したが、怪獣の再来への不安を残すPPDC(環太平洋防衛軍)は新世代のイェーガーを開発し、若いパイロットたちを訓練していた。

10年前の激戦で戦死し、人類の英雄と称えられるスタッカー・ペントコスト司令官の息子ジェイク・ペントコストは優秀なパイロットでありながらある事情により軍を離れ、違法転売行為に手を染めていた。そんなある日、戦地から集めたパーツで小型のイェーガーを自作していた孤児の少女アマーラ・ナマーニと出会ったことから、ジェイクの運命は変わる。右余曲折を経て逮捕されたジェイクは、無罪放免と引き換えにPPDCによりパイロット訓練生の教官として指導を命じられ、同じく逮捕されたアマーラも訓練生となる。

突如現れた漆黒のイェーガーによる襲撃や、再び地の底から現れた怪獣による脅威に対し、若いパイロットたちは新世代イェーガーで立ち向かう。

(Wikipediaより引用)

こっからネタバレ。めっちゃ長くなってしまった。要約が下手くそでごめんさない。これでも結構端折った方なんです。

 

中国の基地に配属されたジェイクは元相棒のネイサンと共にパイロット候補生を指導し始める。そんな中シャオ産業は遠隔操作かつ1人で操縦可能な新型イェーガーを開発し、理事会で森マコの推薦を得てPPDCに導入してもらおうとしていた。しかしシドニーでの式典直前にイェーガー、オブシディアン・フューリーが突如現れ、ジプシー・アヴェンジャーが交戦するも、ヘリは攻撃を受け墜落。乗っていたマコは死んでしまう。

その後、墜落直前にマコが残していたデータからロシアの廃工場に調査しに来たジプシーは、襲ってきたオブシディアン・フューリーを今度は撃退し、パイロットを確認しようとする。すると、操縦していたのは怪獣の脳だと判明する。一方その頃、シャオ産業の計画は承認され、ドローンイェーガーの世界各地への配備が進められ始めていた。主人公達はシドニーを襲ったのはシャオ産業が自社の計画を承認させる為に、懐疑的な見方を示していたマコを殺したのではないかと疑い、ゴットリーブを派遣し真相を確かめようとする。

主人公達がいる基地に新型イェーガーがやってきたその時、各地に配備された新型イェーガーは暴走をしだし、基地やイェーガーを破壊し始める。ゴットリーブは開発を担当していたニュートと暴走を止めようとするが、なんと暴走させたのはニュートだった。ニュートは怪獣の脳とブレインシフトしてから、精神をプリカーサーに乗っ取られ、新型イェーガーを使って再び時空の裂け目を開こうと密かに目論んでいた。ニュートを取り逃がすも、シャオ産業のトップ、リーウェン・シャオによって暴走はなんとか止めることに成功する。世界各地で開かれかけていた裂け目は閉じられたが、3体の怪獣が出現してしまう。

彼らの目的は、富士山のレアアースと自らの血液を反応させて噴火を起こし、環太平洋の活火山を連鎖的に噴火させて環境改変を行うことだと判明。ジェイク達は東京で怪獣を迎え撃つこととなった。予想通り東京にやってきた怪獣と交戦し、善戦するジェイク達だったが、東京に現れたニュートの手助けによって3体の怪獣は合体して超巨大な1体の怪獣となり5機のイェーガーを圧倒し、富士山へと進行し始める。唯一稼働するジプシー・アヴェンジャーも、ネイサンが負傷し動かせないかと思われたが、アマーナが変わりのパイロットを務め、シャオが遠隔操縦する(アマーナ作の)小型イェーガーの助けもあって大気圏外から機体を衝突させることによって怪獣を撃退。ニュートも捕まり、ジェイク達は無事世界を危機から救い、英雄となった。

 

  • 感想

名作の続編は大体駄作になるけど、今作も例に漏れず駄作になりましたね。

前作が何もかも初体験でその補正が掛かって名作だと思ってることは認めます。ストーリーは荒削りで「ん?」となる部分はあったけれども、それ以上のハリウッドの技術で夢に描いた巨大なロボットが怪獣と闘っているというのを観れた興奮に圧倒された。デル・トロは日本のロボットや怪獣の映画・アニメとハリウッド映画が完璧に調和された映画を見事に作り出した。雨の夜や深海に限定された戦闘では、暗闇に目とカイジュウブルーが光る怪獣の不気味さを、暗闇の中ライトによって照らし出されるアーマーや鈍重な動きはイェーガーの機械としての重厚さと頼もしさ、ある種の色っぽさを上手に表現していた。そして魅力的なキャラクター達。特に魅力的だったニュートとゴットリーブのコンビは作中の危機的状況下の中でコミカルかつ重要な役割を果たし、今作でもこの名コンビの活躍が観られると思っていた。

今作は全てが昼の戦闘で、夜の戦闘であった「怪しさ」が消えてどこか言いしれぬ没入感が減ってしまった。進化したイェーガーは動きが滑らかに俊敏になり、デザインもスマートになったが、前作であった機械の重厚感とダサさが失われてしまい、どうも自分は盛り上がれなかった。チェルノ・アルファの世界一かっこいいダサさを見習え。唯一セイバー・アテナは細身な機体に俊敏な動きがマッチしていたので違和感なく観ることができた。タシット・ローニンの正当進化版みたいで結構気に入った。あと、戦艦やコンテナのような周りにあるものを武器にするのも今作は無くてがっかりした。

前作では水と油の関係ながらも一定の相互理解があった2人は怪獣の脳へのドリフトを通じて、唯一無二の関係へとなった。今作では10年を経て唯一無二の関係から最早相互理解は不可能な関係へとなってしまった。ニュートが自室で怪獣の脳の「彼女」に語りかけながらドリフトする様(恐らくこの10年間頻繁にやってたと思われる)や、「どうやら最近の僕は普通じゃない」とゴットリーブに目論見を打ち明け襲いかかる様は狂気に囚われた行動はぞっとさせられた。一方ゴットリーブは怪獣の脳へのドリフト経験を「今でも恐ろしい」と、怪獣への対策をずっと考え続けていた。ある意味彼もまた狂気に囚われてしまったのだろう。怪獣の脳へのドリフトは彼らを1つにし、そして分かり会えないものにしてしまった、この描写は見事だったと思う。ただ自分としてはやはりこの2人にはコンビでまた主人公達と戦って欲しかった思いが強かっただけに少し残念でならない。

メリケンの映画って前作の主役を躊躇なく殺しますよね(偏見)。なんで?僕はこの風潮好きじゃないです。マコ殺すな(過激派)。あと家族のはずのジェイクの立ち直りが早すぎる。義姉の仇のオブシディアン・フューリーに対して怒りの感情があまり読み取れなくて、そういう負の感情が出ないのは優秀なパイロットである証拠でもあるけどちょっとモヤっとした。

何より残念なのは前作主人公のローリー・ベケットが全く劇中で描写されなかったこと。wikiによるとローリー役のチャーリー・ハナムはスケジュールの事情で出られなかったらしい。それにしても大英雄なんだから少しくらい劇中で言及して欲しかった。相棒のマコなんてせっかく出演してるのに死んだんやぞ。仮にパイロットやめてたとしても反応の1つもよこさないのはおかしいでしょ。それとも10年の間に死んだのかな?

 

書きたいことはまだあるけど、もう5時過ぎてるし、これ以上自分の考えを上手く文章に起こせないのでここで終わります。ダラダラ言ってるけど要するにパシフィック・リム:アップライジングは前作の全要素を薄めた駄作です。単体で見ればそこそこ面白いけど前作が良すぎたので比べるとどうしても駄作と言わざるを得ない、そんな作品でした。